お客様の声 (事例)

MSPサービスを変革する新しい運用モデル(ソフトバンクのOpsRamp事例)

作成者: 三浦 剛志|Jan 16, 2026 12:00:02 AM

ソフトバンク株式会社のOpsRamp導入事例を紹介します

ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)は、情報・テクノロジー領域において通信事業を中心にさまざまな事業に取り組み、企業価値の最大化を図っています。AIプラットフォーム開発本部 クラウド開発第1統括部 統括部長の石田 貴史氏に伺いました。

背景:MSPサービス見直しのきっかけと課題

OpsRampを導入したきっかけと課題を教えてください。

ソフトバンクが法人向けパブリッククラウドMSPサービスの見直しを考えた背景には、クラウド市場の急速な拡大と企業のIT運用に対する期待の変化がありました。

  • クラウド利用の急増と運用負荷の増大
    多くの企業がクラウドを導入する中で、運用管理の複雑さが課題に。特に、複数クラウドを利用する「マルチクラウド」環境では、監視や構成管理の仕組みがクラウドごとに異なり、統一的な運用が難しい状況でした。

  • グローバル基準への対応プレッシャー
    Azure, AWSやGoogle Cloudなどが定めるMSP認定制度は、世界標準の運用プロセスを求めます。しかし、日本の商習慣や文化との違いが大きく、グローバル基準をそのまま適用するのは容易ではありませんでした。

  • ユーザー体験の分断
    従来のMSP向けのツールでは、提供側と顧客側で異なる管理画面を使うケースが多く、コミュニケーションや情報共有がスムーズにいかないという問題がありました。顧客にとって「見える化」や「一貫性のある体験」が不足していたのです。

サービス見直しの経緯

サービス見直しの経緯を教えてください。

ソフトバンクがMSPサービスを本格的に立ち上げたきっかけは、Azureの大規模展開でした。しかし、Azureを中心にクラウドサービスを提供していく中で、次のようなニーズが明確になりました。

  • グローバル基準に沿った運用体制の構築
    海外の大手クラウドベンダーと同等の品質を担保するため、ITILに基づく運用や構成管理(CMDBなど)を導入する必要がありました。

  • マルチクラウド対応の必然性
    顧客の要望はAzureだけでなく、AWSやGoogle Cloud、さらにはオンプレミス環境も含めた統合管理を求めていました。これに対応するためには、従来の運用ツールでは限界がありました。

  • ユーザー体験の改善
    「提供者と顧客が同じ画面を見ながら話せる」ことが、サービス品質を高めるうえで重要だと認識しました。この視点が、後のOpsRampの選定に大きく影響しました。

OpsRampを選んだ理由

OpsRampが選ばれた理由を教えてください。

複数の製品を比較検討した結果、OpsRampを選んだ理由はいくつかあります。

  • マルチクラウド+オンプレ対応の広さ
    Azure、AWS、Google Cloud、オンプレミスまで幅広くカバーできるため、顧客の多様な環境に対応可能。

  • 柔軟な権限管理と階層構造
    MSPサービスでは、顧客ごとに異なる権限設定やリソース分離が必須。OpsRampは階層構造を活用し、複雑な権限管理をシンプルに実現。

  • 同じ画面でのコミュニケーション
    提供側と顧客が同じUIを共有できることで、認識や解釈の齟齬を防ぎ、コミュニケーションが格段にスムーズに。この点は、従来の課題を解決する決定打となりました。

  • 広範な機能と拡張性
    監視、構成管理、アラート管理、レポートなど、MSPサービスに必要な機能を網羅し、さらにAPI連携による拡張性も高いことを評価しました。

導入時のチャレンジと工夫

導入時の工夫を教えてください。

OpsRampの導入にあたっては、いくつかの大きな課題がありましたが、チームで工夫を重ねて乗り越えました。

  • 従量課金への対応
    クラウドサービスは利用量に応じた課金モデルが一般的ですが、OpsRampの仕組みをどう適応させるかが最初のハードルでした。
    特に、クラウドリソースは日々変動するため、課金体系を柔軟に設計し、変化に追従できる仕組みを検討しました。最終的には、OpsRampのAPI連携やレポート機能を活用し、運用ルールを明確化することで対応しました。

  • リソース分離管理の難しさ
    顧客のDX推進により「自分で運用したい」というニーズが高まり、MSP側と顧客側で管理するリソースをどう分けるかが重要なテーマになりました。
    アラートの区分や権限管理をどう設計するかについて、階層構造やリソースグルーピングなど複数の方法を検討し、柔軟に対応できるポリシーを策定しました。

  • 通信事業者ならではの契約・標準化の壁
    通信業界特有の商習慣との整合性を取ることも課題でした。技術仕様と契約条件をどうリンクさせるか、OpsRampの柔軟性を活かしながら標準化を進める工夫が必要でした。

  • 海外製品導入時の文化・商習慣の違い
    OpsRampは海外製品のため、日本の商習慣とのギャップがありました。ここでVistaNet社が橋渡し役となり、仕様変更や調整をスムーズに進めるためのパイプ役を担ってくれたことが大きな助けになりました。

これからの展望

OpsRampを導入して今後の展望を教えてください。

OpsRampの導入はゴールではなく、スタートです。今後のサービス拡張に向けて、いくつかの取り組みを進めています。

  • 国産クラウド対応
    OpsRampを活用し、国産クラウドを含むマルチクラウド環境を統合管理することで、国内企業のニーズに応える体制を強化します。

  • 全社サービスの一元管理
    MSPサービスだけでなく、個別運用サービスもOpsRampで統合し、顧客に「一つの画面で全てを管理できる」体験を提供する構想があります。これにより、運用効率と顧客満足度を大幅に向上させることを目指します。

  • ハイブリッド環境への対応
    既存のオンプレミス環境とクラウドを段階的に統合し、システムの垣根を超えた運用を実現します。OpsRampの柔軟な構成管理機能を活用し、ハイブリッド環境での一貫した監視・運用を目指します。

  • AIとの連携による自動化と効率化
    AIOpsや外部AIエージェントとの連携を進め、障害予測や自動復旧などの高度な自動化を実現します。これにより、運用負荷を軽減し、より戦略的な業務にリソースを集中できるようになります。

  • グローバル基準+日本市場への最適化
    OpsRampの強みであるグローバル基準を維持しつつ、日本の商習慣や顧客ニーズに合わせた運用モデルを構築し、国内外で競争力のあるMSPサービスを展開していきます。

まとめ

OpsRampは、ソフトバンクのMSPサービスにおける「グローバル基準対応」「マルチクラウド運用」「ユーザー体験改善」という課題を解決し、今後のサービス統合やAI連携に向けた基盤として期待されています。