OpsRamp Copilotで変わるIT運用
― アラートのRoot Cause Analysis(RCA)はAIが自動で行う時代へ ―
1. はじめに:複雑化するIT運用と「RCAの壁」
マルチクラウド、SaaS、ハイブリッドインフラが当たり前になった現在、
IT運用で最も時間と労力を奪うタスクの一つが障害の根本原因分析(Root Cause Analysis:RCA)です。
- アラートが大量に発生
- どれが本質的なアラート(Root Cause)か判別が難しい
- 影響範囲の把握や依存関係の確認に時間がかかる
- “アラートの洪水”が現場の疲弊を生む
こうした課題を解決するために、OpsRampでは最新のAIアシスタント
「OpsRamp Copilot」を導入し、RCAの大部分を自動化できるようになりました。
本記事では、OpsRamp CopilotがどのようにRCAを自動化し、
IT運用の現場をどう変革するのか解説します。
2. OpsRamp Copilotとは?
ITOM領域に特化した生成AIアシスタントOpsRamp Copilotは、IT運用に特化した生成AIで、
OpsRamp内のデータ(メトリクス、ログ、アラート、構成情報など)を理解し、
自然言語での指示や質問に回答してくれます。
従来のAI Opsとは異なり、
- 対話型UIでの会話操作
- インシデントやアラートの解釈
- 改善案やアクションの提案
といった「人間とAIの共同作業」を前提にしています。
3. 目玉機能:Alert Root Cause Analysis(RCA)の自動化
OpsRamp Copilotの中でも特に注目されるのが、
アラートのRoot Cause Analysisを自動で行う機能です。
- アラートの関連性を自動分析
大量のアラートが発生した際、Copilotは次のように
自動でグルーピングと因果関係分析を行います。
・発生時間の近接性
・同一リソース・関連リソースの依存関係マップ
・メトリクスやログの変化
・過去のインシデントパターン
・変更管理(変更直後のアラートなど)
その結果、「どのアラートが原因で、どのアラートが結果なのか」をAIが提示します。 - RCA結果を自然言語で説明
CopilotはRCAの結果を、次のように“人間がすぐ理解できる文章”で返します。
「CPU使用率が急上昇したためWebアプリケーションの応答遅延が発生し、
その影響で複数のアプリケーションがアラートを上げています。
根本原因はWebサーバAのCPUスパイクである可能性が高いです。」
専門知識の浅いエンジニアでも状況を直感的に理解できるのが大きなメリットです。 - 推奨アクション(Recommended Actions)も自動提示
RCAに加えて、AIが次のような改善案を提示します。
・サーバーリソースのスケールアップ提案
・エージェントの再起動指示
・ネットワーク遅延の追加チェック
・関連ログの自動収集
熟練エンジニアの“頭の中”を再現したようなサジェストを行い、
復旧時間を劇的に短縮します。 - 従来のIT運用との比較:Copilotの価値はここにある
▼ 従来のRCA
・アラートを手作業で確認
・各ツールからメトリクスやログを収集
・依存関係を頭の中で推測
・経験者しか正しい推測ができない
・数十分〜数時間の作業が必要
▼ OpsRamp CopilotによるRCA
・数秒で依存関係を分析
・全データソースを自動横断
・文章で分かりやすく説明
・改善案をその場で生成
結果として、MTTR(平均復旧時間)が大幅に改善します。 - Copilot RCAがもたらす“人的メリット”
● 経験の浅いメンバーでも対応できる
RCA力は本来、熟練エンジニアの“職人スキル”。
Copilotの導入によりスキルの属人化が解消されます。
● オペレーション負荷を50〜70%削減
アラート解釈の自動化により、現場の緊急対応が大幅に減ります。
● 夜間・休日のアラート対応が楽になる
AIが状況を整理してくれるため、夜間オンコールの心理的負担が激減します。 - 導入企業の典型的な効果(想定例)
・アラート対応時間:45分 → 5分
・インシデントの誤対応:大幅に減少
・MTTR:30〜50%改善
・運用コスト:3〜6割削減
特にマルチクラウド・複雑なSaaS運用を行う企業ほど、Copilotの恩恵を受けやすいのが特徴です。 - まとめ:AI-RCAの標準化がIT運用の新しい常識へ
OpsRamp Copilotは、単なるアラート可視化ツールではありません。
IT運用の“知的作業”の中心にAIを置く新しいモデルを提示しています。
・アラートの因果関係をAIが解釈
・根本原因を自動特定
・推奨アクションを提示
・オペレーションの属人化を排除
RCAの自動化は、今後のITOMのスタンダードとなるでしょう。
OpsRamp Copilotは、運用チームを“アラート消化部隊”から、
“ビジネスに価値を生むチーム”へと進化させる強力な武器になるはずです。
